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Dleague LOOKINSIDE 2014
第56回 −偉業達成に満足すること無く進化を続けるオールディーズ−
過去2年間に開催されたDリーグ −4回のリーグ戦と1回のワンデートーメント− に於いて22戦を戦い21勝1敗、勝率954.という驚異の勝率で5連覇の偉業を達成、リーグ11年の歴史の中でも既に“伝説”の領域に到達しつつある“絶対王者”オールディーズ。5月中旬から開幕する26年度春季大会ではいよいよ“Wスリーピート”6連覇に挑戦する。今回は昨年の春季大会と秋季大会での数値から彼らの戦いぶりを比較検証、戦力の分析を行っていくことにしよう。
部門 | 平均得点 | 平均失点 | リバウンド | アシスト |
25年度春季大会 | 64.0(1) | 55.6(6) | 29.2(3) | 10.6(1) |
25年度秋季大会 | 63.8(1) | 50.0(2) | 29.6(1) | 12.4(1) |
秋季大会平均 | 54.6 | 54.6 | 23.4 | 10.8 |
まずは昨年の春季大会と秋季大会の主だった部門の1試合当たりの数値を表にして比較してみると平均得点はほんの僅かながら下がったもののリバウンド、アシストは向上、そして特筆すべきは平均失点の改善だ。「アップテンポな攻撃スタイルを標榜する為、ある程度の失点は止む無し」と思われていた守備をオフシーズンにチームとして再構築、春季大会ではブッダと並び最下位の55.6Pだったものを50.0Pにまで劇的に改善、平均得点から平均失点を差し引いた数値も春季大会の+8.4から+13.8と5.P以上UP,これは2位のセガ(8.4)3位のファイブファールズ(6.6)を大きく引き離しているところに彼らの強さの理由が、そして独自リーグに、またバスケットボールに対して現状に満足することなく真摯に向き合い“昨日の自分を越えるべく”常に向上を目指している姿勢が偉業達成への大きな力となっていることを窺い知る事が出来る。さらには前回大会でもトップだった1試合平均の2Pショット成功数25.4(リーグ平均19.9)、フリースロー成功数7.8(リーグ平均5.7)に加えてブロックショットでもキングサンズを上回り2.2(リーグ平均1.46)と1位を記録、また春季大会同様にリーグ平均を下回っている部門は共に5位のスティール4.2(リーグ平均4.96)と3P成功数1.4(リーグ平均2.6)と一致、このデータから彼らが如何に自分達の築き上げてきたプレイスタイルである「接戦を勝ち抜く為に合理的かつ確率の高いショットを選択するオフェンスと“強固な守備が攻撃の第一歩”とリバウンド奪取に集中、厳しいマンマークとギャンブルは極力抑える事を徹底した基本に忠実なチームディフェンス」の戦術をチーム全員が理解して実践、見事な成績に繋げていることが垣間見えるのではないだろうか・・・
また春季大会ではミスターパーフェクト遠藤(112P)、キャノンボールしん(53P)のバックコートコンビに突出していたオフェンスも秋季大会ではバランスよく分散化、リーグ史上例を見ない7名が通算25P以上(春季大会では4人)を記録、これはオールディーズが如何にチームでボールをシェア、「どこからでもスコアすることが出来る、そして対戦相手に的を絞らせていないオフェンスを実践している」、そしてスターターと遜色ない実力を持つメンバーがベンチに控えている事を物語っている一つの証明と言えるだろう。
安易に新規メンバーの加入をさせる“足し算”による戦力向上よりも「5連覇を成し遂げた現有戦力による熟成」にさらなるチーム力向上を選択したチームにロースターの大きな変動はない。以前に比べ自らが得点を奪いにいくことよりも「チーム全体、そしてフロアバランスを重視」するプレイスタイルにスイッチすることでさらなる凄みとプレイの奥行きの深さを加えたエース、“der Kaiser”ミスターパーフェクト遠藤、時にチームに不協和音をもたらす“毒”を撒き散らすもののそのスピードと決定力で加入以来チームに栄光を齎し続けるアウトロー、キャノンボールしん、秋季大会では驚異の決定力でミドルジャンパーを量産したバイロン鈴木、強固なディフェンスとクラッチタイムになればなるほど決定力が上がるロングレンジシュートを兼ね備えるベイビーガソル三寺、その“鉄板”と形容される高確率なペイントゾーンのショットは今大会から採用される“50歳プラス1ルール“により最も恩恵を受けると予想される”頼れるベテラン“BIGX西川、得点、リバウンド、アシスト、繋ぎ・・・その瞬間、チームが必要とするプレーを確実に遂行出来るミリオンダラー浅田、ベンチからの出場ながらハードワークでチームにエナジーを送る役割を担うピースメーカー石渡、そして秋季大会に於いて見事MVPに輝き40歳を越えてもいささかの衰えも感じさせないラムジー武田、さらにはビーナスフォーメーションからの華麗なミドルジャンパーを射抜いてゲームを締めくくるヒロインのビーナス野崎、ロングレンジシューターのサクラ、復帰が予想されるタイトなディフェンスとランニングプレイが持ち味のサファイヤえいこの女性陣も充実、お馴染みのメンバーは健在だ。唯一練習不足が伝えられるチーム生え抜きのベテラン、スワン佐々木の動向が気になるところだが大会までにはしっかりコンディションを整えてくるだろう。
セリエAでスクデット18回、そして欧州チャンピオンズリーグを制覇すること7回と数々の栄光を築き上げたイタリアの名門、ACミランは中位を彷徨い、コービーブライアントを欠き既に来季への舵取りを切ったLAレイカーズはウェスタンカンファレンスの最下位に位置、直近では大幅なルール変更により波乱が予想されたとは言えオーストラリア、アルバード・パークサーキットで幕を開けたF1グランプリではジェイソンバトン、キミライコネン、そしてセバスチャンベッテル・・・3人のチャンピオンドライバーがQ2の予選で揃って姿を消した・・・以前にもこのコラムで指摘したようにスポーツの世界ではこのように一時代を築き最強と謳われ栄華を誇った王者達にもいつしか季節は流れ、やがて“冬の時代”は必ず訪れてくる・・・
チームに栄光を齎し続けてきた中軸メンバー達も30代後半に差し掛かり以前のようにフィジカル的な優位性が薄れていく中でそれに反比例するように増していくであろう社会的責任やかけがえのない家族との時間、そしてかつてオールディーズがそうであったように敗北の悔しさを糧に王者の厚い壁を突き破らんと挑んでくるライバル達・・・無敵を誇る彼らにも戦いを通じて自らの衰えや限られている時間の切なさを悟る時が、そして冬の時代の到来を告げる足音がかすかに聞こえ始めているのかもしれない。しかしながらこの2年間、前述のように他を圧倒する成績を残すと共に数値では言い表す事が出来ない部分の強さを発揮、 −僅差での勝負強さ、最終Q途中で10点以上のビハインドを背負いながらも試合をものにする粘り強さ、そしてチームに宿る最後まで絶対に諦めない精神力− その座を蹴落とさんと挑んでくるライバル達の挑戦を衰える事の無い向上心をもって練習に励み悉く退けてきたことを合わせ考えると“絶対王者“オールディーズが春季大会でも優勝に最も近い位置にいることは間違えなく、余程のことが無い限り”Wスリーピート“6連覇達成は濃厚と筆者は予測する。
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