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Dleague LOOKINSIDE 2015
第71回 ― 新たな道へと歩みを進めたネオクラゲ ―
26年度秋季大会に於いて5戦全敗とチーム史上17年度秋季大会、25年度秋季大会に次いで3度目となる最下位に転落したネオクラゲ。 4年前、ベテランと若手が融合、コートという名の舞台の上で各々が持ち合わせている個性と能力を互いに引き出合い自己犠牲を厭わぬ抜群のチームワークで7年ぶりとなる3度目の優勝を果たし「古豪復活、そしてかつて連覇を達成した頃の“栄光の時代”を取り戻す予兆」を感じさせていたがどこでその歯車に狂いが生じてしまったのか・・・その直後からチームは出口が見えない負のスパイラルに突入、優勝争いに加わるどころか下位に彷徨うことが常態化してしまっているのが現実のようだ。今回はリーグ創設に大きく寄与したかつての“フラッグシップチームが何故ドアマットチームと化してしまったのか“を前回大会の戦いぶりを丁寧に振り返ると共にチームの残した数値からも合わせ考えながら検証、問題点を明らかにするとともに次期大会への課題を探っていくことにしよう。
26年度秋季大会
表1【戦績 0勝5敗】
11/24 #1 | 11/24 #2 | 11/29 #1 | 11/29 #2 | 12/6 |
FF | オールディーズ | キングサンズ | セガ | ブッダ |
●47-48 | ●60-90 | ●48-55 | ●56-58 | ●52-60 |
表2【チームスタッツ1】
| 得点 | 2P | 3P | フリースロー |
得 | 52.4(4) | 19.2(3) | 2.4(6) | 5.4(3) |
失 | 62.0(5) | 21.4(5) | 3.6(5) | 6.2(4) |
差 | -9.6 | -2.2 | -1.2 | -1.2 |
表3【チームスタッツ2】
| リバウンド | アシスト | スティール | ブロック |
得 | 32.0(2) | 7.8(6) | 4.0(5) | 1.0(6) |
失 | 24.4(1) | 10.8(6) | 5.4(4) | 2.0(5) |
差 | 7.6 | -3.0 | -1.4 | -1.0 |
*1試合当たりの平均値( )内の数字はそれぞれリーグ内における順位を表す
表1の戦績を見ると0勝5敗ながら− 60−90と完敗を喫したオールディーズ戦を除けば全て8点差以内と 特にファイブファールズには1点差、セガには2点差だった −事実を示すこの表に並ぶ数字を漠然と眺めていると見方によっては“全敗はしたもののかなり善戦した、あるいは互角に戦っていた”ようにも感じられる方もいるのかもしれない。しかしながらチームの成長や未来を見据え敢えて厳しい見方をすればここ数年来指摘されている「勝負所でのミスや詰めの甘さ、オープンショットを容易く打たせてしまう希薄なディフェンス意識、コミュニケーション不足を含めた稚拙なベンチワーク、そして決定力不足に繋がっている内外角のシュート確率の改善」は未だ進んでいないようにも映る。特にファイブファールズ戦、セガ戦、そしてキングサンズ戦では十分に勝てるチャンスが、あるいは勝負所で相手を押しきる事が出来る場面がありながらも3試合ともに敗戦を喫してしまったのは前述の課題が改善されてない現実を如実に表している一つの証明ともいえるだろう。
しかしながら「一つの方向からだけではなく反対の方向からも物事を推察する」複眼的な発想の下で表2,表3のそれぞれの部門のチームスタッツの数字を検証してみると彼等には再び優勝争いに加われる可能性が秘められていることがわかる。 リーグトップクラスの数値を残したリバウンドを除けば最下位の成績を証明するように全て低調な数字が、そしてマイナスを表す赤字が多数並んでいるがよく見るとその数値の差は-9.6を記録した得失点差以外はごく僅かであり、その改善策も自ずと見えてくる・・・まずはいろいろな策を講じるよりはごくシンプルに 「ディフェンスでは持ち味であるリバウンドの強さを保ちつつ今一度チームとして守備への重要性を徹底させレベルアップを計ること、そしてオフェンスではチームとして必要且つ堅実なプレイを、そしてより確率の高いシュートを選択すること」を徹底させる、あるいは得点力が元々高くないことはチームとして認識しているのでチームの平均得点52.4Pより対戦相手を抑え込む事を目標に「失点を50点以下に抑える」「1Qで12点までしか入れさせない」など約束事や具体的な数値をメンバー全員がしっかりと意識するだけでもチームの成績を向上させる −少なくとも前回大会以上の− 成績は残せるポテンシャルを十分に持ち合せているのではないだろうか・・・
但し彼等が −低迷が続くチームに勝利をもたらし再び栄光の時代へと導く為には− 自らの敗戦や過去の過ちに真正面から向き合わなければならない・・・ −見たくもない現実に大きく目を見開き、聞きたくない話にも耳を傾け、認めたくないであろう自らの敗北や失敗を真正面から受け入れた瞬間に− 人はそれまでの行動を改め、進むべき道を見出し新たなステップを踏み出すことが出来る。そう、「如何なる現実をも直視する勇気と些細な事にも反省する素直な心」こそが挫折や敗北、あるいは打ちひしがれた心をいつの日かチームの勝利や栄光、そして己自身をさらなる高みへと導いていてくれるものなのだ・・・
ここ数年変動の無かったチームロースターはBS三野宮、ピンクパンサージュエリが揃って移籍することが決定、チームはトップスコアラーと高いスキルに裏打ちされたクレバーなプレーと正確なアウトサイドシュートを併せ持つ貴重なバックアッププレーヤーを同時に失うことになるがこの二人と入れ替わるようにガードの両ポジションをこなす事が出来るかつてリーグ創成期にプレーしたファールバックス時代の“ザコ”からa.k.a変更“クイック”五十嵐が加入、二人の抜けた穴を埋める事になる以外にお馴染みの主要メンバーに大きな変更はない。
未だに頼りなさは残るもののチームを統率するキャプテンとして2年目のシーズンを迎えるユーティリティープレーヤーのカルロ小杉、“何かが吹っ切れたのか”昨秋から攻守両面で好調を維持するDICE-K、ハードなディフェンスと無尽蔵なスタミナの持ち味に加えて課題であるオフェンス力の向上に取り組んでいるチームの司令塔を務めるHG小田川、かつてリーグの得点王に輝いた実績を誇るオールラウンドプレーヤー、スピーディーロダンゆうま、アンダー30歳枠から外れさらなる活躍が期待されるゲレーロしゅんの若手メンバーに加えて衰えるどころか最近ではミドルレンジからのシュートやローポストからのターンアラウンドジャンパーを積極的に放ちさらにプレーの幅を拡げているバッドマウス武藤、48歳にしてシュートフォーム改造に着手、ミドルジャンパーの成功率を飛躍的に向上させているSE光嶋、短いプレータイムでもチームに期待に応えインサイドで奮闘、リバウンドを?ぎ取ってくるアロンゾ河原、膝に爆弾を抱えながらも変幻自在なパスワークでチームのオフェンスにアクセントを加える事が出来るコンダクター富坂、長引く故障からの復活を期すペーパーバック“the beast”小森、そして54歳のAKと歴戦のメンバー達も健在、今大会も若手とベテランが融合、コート内外で各々の足りない部分を補い、助け合う中で生じてくるであろうチームとしての“和の力”を如何に発揮する事が出来るかがチームの浮沈を握る事になるだろう。
ここ数年続いた低迷の時間の「間」に対してネオクラゲは真剣に向き合う事を怠り、そして改善する事をおざなりにしてきてしまった為に、いつしか「間」と言う文字を「魔」と言う文字に、そしてチームは下位を彷徨うドアマットチームへと変貌させてしまっていたのかもしれない・・・しかしながらメンバー全員がその「魔」に避ける事無く向き合った瞬間に、そして同じ方向に心を合わせた時にこそチームが新たな気持ちでスタートラインに立ち、そして進むべき正しい道に向けて大きな一歩を踏み出すことが出来る・・・
冬から春へ・・・季節は巡り程なくすれば厳しい寒さも和らぎ暖かい陽光や桜の花びらが私達に前向きになれる気持ちや何事にも恐れずに新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれるだろう・・・春季大会に於いて低迷が続くネオクラゲがいきなり優勝を遂げる、あるいは優勝争いに加わることは現実的に考えれば難しい事なのかもしれないが進むべき道に歩み始めた彼等が再び勝利の喜びを噛みしめ、かつての自信や栄誉を取り戻すのはそう遠い未来ではないだろう。
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