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Dleague LOOKINSIDE 2015
第74回 ―オールディーズは「絶対王者」の称号を取り戻すことが出来るのか ―
26年度春季大会に於いて5大会連続、そして2年に渡り守り続けてきたリーグ王者の座を遂にファイブファールズに明け渡したオールディーズ。「絶対王者」と呼ばれたチームに脈々を流れる“チャンピオンプライド”とリベンジを合言葉に覇権奪還に挑んだ前回大会、チームはその決意の程をプレーに体現するが如くティップオフの瞬間から総攻撃を開始、初戦のブッダを73-42で一蹴すると続くネオクラゲ、そして優勝候補の一角と予想されていたキングサンズをも一瞬の付け入る隙を与えることなくいずれも30点差以上をつけての完璧な試合内容で開幕3連勝を飾り“予定通り”覇権争いを首位に躍り出ることに成功する・・・しかしながら満を持して挑んだ大会最終日、ディフェンディンチャンピオンのファイブファールズとの戦いで彼らに突きつけられたものは受け入れ難い、いや受け入れざるを得ない過酷な現実だった・・・ 今回のDleague lookinsideはチームスタッツから彼らの実像を分析した後に前回大会のターニングポイントとなったファイブファールズ戦、そして続くセガ戦と敗北を喫した2つの試合を丁寧に振り返りながら詳しく検証、問題点を探るとともに次期大会への課題を考えてみることにしよう。
26年度秋季大会
表1【戦績 3勝2敗】
11/24 @ | 11/24 A | 11/29 | 12/6@ | 12/6A |
ブッダ | ネオクラゲ | キングサンズ | FF | セガ |
○73-42 | ○90-60 | ○81-45 | ●45-53 | ●58-62 |
表2【チームスタッツ1】
| 得点 | 2P | 3P | フリースロー |
得 | 69.4(1) | 24.2(1) | 3.4(4) | 9.0(1) |
失 | 52.4(3) | 17.6(3) | 3.2(2) | 6.4(5) |
差 | 17.0 | 6.6 | 0.2 | 3.6 |
表3【チームスタッツ2】
| リバウンド | アシスト | スティール | ブロック |
得 | 28.6(2) | 10.4(1) | 5.8(2) | 1.4(2) |
失 | 27.2(3) | 9.2(3) | 4.2(3) | 0.2(1) |
差 | 1.4 | 1.2 | 1.6 | 1.2 |
*1試合当たりの平均値( )内の数字はそれぞれリーグ内における順位を表す
まずは表2.表3のチームスタッツの数値を検証してみることにしよう。得点、フリースロー、アシスト・・・押し並べて優秀な数値を示す数字が並んでいるがその中でも特に目を引くのは69.4Pを記録している平均得点だ。これはセガが記録している57.8Pを除いて他4チームが51〜53Pの間に留まっていることを考えると如何に彼らの得点能力がリーグの中で抜きんでていることがわかる。また24.2本を記録した2P成功数(リーグ平均19.4本)、9.0本のFT成功数(同5.9本 )は彼らが5連覇を達成した道程を含めここ数年標榜している「堅守速攻」、そして「ジャンプシュートよりはドライブ・・・より成功率の高いシュート、あるいは得点に結びつくプレイを選択している」を実践していたことを証明しているものでこれ以外の部門でもリバウンド、スティール、ブロック・・・リーグで唯一全てのジャンルに於いて平均値を超えている数値を記録、これといった欠点や弱点は見当たらず、逆に何故これ程のパフォーマンスを発揮していながら優勝を逃してしまったのか,不思議にも思えてしまうのは筆者だけではないだろう・・・
それでは次にチームスタッツの数値では推し量れない部分を探る為に敗北を喫したファイブファールズ戦、そしてセガ戦での戦いぶりを丁寧に振り勝っていくとその原因らしきものが薄らながらにも少しづつ浮かび上がってくる・・・
ネオクラゲ、そしてセガに1点差の僅差の勝負に持ち込まれ今ひとつ調子の上がらないディフェンディングチャンピオン、ファイブファールズとは対照的に初戦のブッダ戦からネオクラゲ戦、そしてキングサンズ戦までは実に平均得点81.3P、−これは40分のゲームに換算すると101.6Pに相当する− 得点差も1試合当たり平均32.3P差と対戦チームは勿論、見る者にその爆発的なオフェンスと圧倒的な力を誇示、周囲からは「このまま連勝街道を驀進、再び王座に返り咲くのでは・・・」との声が大会を追うごとに大きくなってきていたが雌雄を決する大会最終日のファイブファールズ戦、そして続くセガ戦でチームはこれまでとは“違った顔”を見せてしまう・・・
試合開始直後は“彼ららしさ”を見せてはいたものの1試合を通してこれまでの3試合で見られた −獲物を狙うライオンのような獰猛さや勝利を勝ち取る為の激しいエネルギーが− 見ているものに伝わることなく常にファイブファールズを追いかける展開に終始、−それでもハーフタイムまでは− 29-33と何とか喰らい付いてはいくものの3Qで35-49と大きく引き離されてしまうとそのまま押し切れらてしまい45-53と完敗、そして続くセガ戦では −ファイブファールズ戦で燃え尽きてしまったのか、それともこの先の大会の成り行きを“先読み”彼らが“望んでいない光景”が見えてきてしまったのか− ファイブファールズ戦以上に燃えるようなエネルギーを発する事無くティップオフの瞬間からセガに試合の主導権を握られ24-40と前半で大量16点のリードを奪われてしまう・・・この「言わば崖っぷちの試合展開」を受けてファイブファールズ戦で負傷、「この試合は欠場濃厚」との噂があったミスターパーフェクト遠藤が堪らず後半開始から強行出場、下を向き戦闘意欲を失ってしまっていたチームメイト達に声で、そしてプレーで鼓舞「一時20点以上離された得点を3点差にまで詰め寄る“意地“を見せたものの最終的にはセガに押し切られ58-62と敗戦、結果、彼らの望んでいた結果とは程遠い通算3勝2敗で文字通り”終戦“を迎えてしまうことになる・・・
この2試合の敗戦から感じられる率直な印象は −ファイブファールズにはこれまで彼らの破竹の快進撃の中核を担い「堅守速攻」のチームスタイルを体現していたミスターパーフェクト遠藤とキャノンボールしんの爆発的なドライブでの波状攻撃を始めとする彼らのオフェンスパターンがかなり研究、対策を練られてしまっていた“戦略的”な部分で、そして続くセガ戦では −勿論彼らはベストを尽くしただろうが− ファイブファールズ戦で敗れてしまったことで“覇権奪回”という当初の目標を達成することが難しくなった時点で“次なる目標をチームで的確に定める事が出来なかった”という“精神的”な部分にそれぞれ原因があったように感じられたので再び自らの“定位置”に舞い戻る為にはこれまで以上のレベルアップや攻撃の幅を拡げることが、そして精神的な部分に於いても−たとえ自らの望まない状況に陥ってしまった場合であろうとも− チームとしてベストを尽くせる、“チームの未来へと繋がっていく”次なる目的を定めて邁進する為に必要な“心のスタミナ”というべき“粘力”を大会前までに忘れずに用意しておく必要があるだろう。
また今回課題として指摘した戦略的、精神的な部分の他にもチームは課題を抱えている。それは以前にはあまり目にすることがなかった僅差の争いで競り負けしてしまうシーンが増えつつあることで特にここ4回の対戦で3回敗北を喫してしまっているファイブファールズとの鬩ぎあいに打ち勝つ事が出来ない限り王座に返り咲く事は不可能だろう。
それでは最後になったが覇権奪回を目指すチームのロースターを確認しておこう。司令塔のポジションを務めるのは不動のエース、ミスターパーフェクト遠藤、大会に向けて順調な調整ぶりが伝えられるカミソリシューター、バイロン鈴木、高速ドライブに加えてストリートで鍛えられたタフなプレーでディフェンスを切り裂くキャノンボールしん、正確なロングレンジシュートとタイトなディフェンスが持ち味のベイビーガソル三寺、ペイントゾーンでのパワープレーとベースライン沿いからのミドルジャンパーが武器のミリオンダラー浅田、オールラウンドな活躍が期待されるスワン佐々木、1年前の膝十字靭帯断裂からようやく復帰、オフェンスリバウンドや速攻が持ち味のキケロ武田が今大会もチームの中核を成すと予想され、SGのポジションはバイロン鈴木とキャノンボールしんが、SFのポジションはスワン佐々木とキケロ武田がそれぞれスターターの座を争う事になるだろう。
これに加えていぶし銀のプレーは55歳を迎える今でも健在、”ペイントゾーンマイスター“BIGX西川、「このメンバーでまた優勝を・・・」チームを思う気持ちは誰にも負けない心優しきハードワーカー、ピースメーカー石渡、前回大会に於いて正確なロングレンジシュートを次々にヒット、自らの秀でた才能をリーグに証明して見せたブラックキャットさくら、そして”ディフェンダーを欺くアシストパス、タイトなディフェンス、そして巧妙なフェイクモーションからのステップバックシュート・・・未だ進化の歩みを止めようとはしない“レジェンド”ヴィーナス野崎、さらには正確なミドルジャンパーが武器のオールラウンドプレーヤー、ヒュードロクーペ荒井、そして「チーム生き残り」の戦いを自らの成長の糧にする“イリーガルシート”から原点回帰a.k.a“オンザボーダー”鹿野のこれまでのチームの歩みをよく知る二人のベテランプレーヤーが復帰、気持ちも新たに13名体制で大会に臨んでくるだろう。
チームの“和”そして“歴史”を重んじながらもロースターに厚みを持たせることでさらに戦力を拡充、先に示したチャンピオンをも上回るリーグで最も優れたスタッツを記録した数々のデータ、1年間王座から遠ざかり「勝利に、そして栄光に飢えている」チームの精神状態、そしてチームに息づいている「チャンピオンプライド」の存在を合わせ考えると春季大会に於いてオールディーズが優勝争いに加わってくる事は勿論、1年ぶりにリーグの頂に登り詰める可能性がかなり高いと筆者は予測する。
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