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Dleague LOOKINSIDE 2016
第79回 ―ブッダは“栄光”を掴み取ることが出来るのか ―
昨年度の秋季大会の開幕戦に於いてそれぞれ3回、そして5回のリーグ制覇の経験を誇るネオクラゲ、そしてキングサンズに対し現在のチームの勢いを見せつけるかのように圧倒的な大差を着けて一蹴、開幕2連勝を飾り悲願の「リーグ制覇」に向けて順調な滑り出しを見せたと思われたブッダ。しかし大会2日目、“優位“と見られていたセガ戦で古豪の粘りと経験の前に43-45と競り負けると続くオールディーズ戦にも敗れ連敗、最終的にはファイブファールズと並ぶ3勝2敗 勝ち点11ながら直接対決での勝敗により連続準優勝、−優勝に手が届く位置にポジションを取っていた− チームとして”最低限“とも言える成績を残し戦いを終えたブッダ。来たる28年度春季大会は悲願の初優勝に向けて“勝負を懸ける”正念場の大会となる。今回はリーグで最も若く勢いのある正に“旬”の時を迎えているチームの前回大会での戦いぶりを1戦1戦振り返ると共に彼らの残した成績を詳細に数値化することで分析、チームの全体像を明らかにすると共に“彼らに欠けていたものは何か“、そして“春季大会へ向けての課題とは何か“を一つ一つ探っていくことにしよう。
【表1】大会成績:3勝2敗 勝点11 最終順位:2位
ネオクラゲ | キングサンズ | セガ | オールディーズ | FF |
〇71-51 | 〇85-48 | ×43-45 | ×48-78 | 〇54-53 |
【表2】 各主要部門平均チームスタッツ
得点 | リバウンド | アシスト | スティール | 3P |
60.2(2) | 24.4(3) | 7.4(6) | 5.4(3) | 2.0(4) |
失点 | 被リバウンド | 被アシスト | 被スティール | 被3P |
55.0(3) | 22.0(3) | 9.0(2) | 4.8(2) | 2.8(5) |
+5.2 | +2.2 | -1.6 | +0.6 | -0.8 |
【表3】 各部門スタッツリーダー(総数)
得点 | リバウンド | アシスト | スティール | 3P |
FAりょう(127P) | S亀井(35本) | FAりょう(15本) | FAりょう(10本) | FAりょう(5本) |
LW古川(44P) | バター梅津(27本) | リン他3名(5本) | S亀田(6本) | LW古川(4本) |
S亀井(43P) | FAりょう(15本) | S和田(2本) | BDリン(4本) | バター梅津(1本) |
まずは例によって【表1】の大会成績を参照に彼らの戦いの軌跡を辿ってみることにしよう。前述のように開幕戦でのネオクラゲ戦では第1Qから圧巻の攻撃力で圧倒、71-51と快勝を飾ると続くキングサンズ戦ではさらに自慢のオフェンスが爆発、大会最多得点となる85点を奪い開幕2連勝を飾り大会前、“王者ファイブファールズをその座から引きづり降ろしリーグの頂を極めるのは“ −2年間王座から遠ざかり“ややピークを過ぎた“と思われていたオールディーズよりむしろ若く勢いのあるブッダではないか・・・−という予想が現実化するかと思われたのだが・・・迎えた大会2日目、最終第5試合に予定されていた”優勝“を懸けての大一番となるオールディーズ戦を前にして行われた第2試合でのセガ戦でその”悲劇“は起きた。
数年前、遥か遠くに位置していた筈の「優勝」がほんの少し手を伸ばせば届く位置にある「現実」、予想を上回る“ほぼ完璧”とも言える”順調過ぎた”スタート、開幕2連敗を喫し既に優勝圏外に去っていた“組み易し”と思われた第2試合の対戦相手、そして第5試合に予定されている優勝する為には“必ず乗り越えなければならない”かつて”絶対王者“と呼ばれたレガシーチームとの試合に向けて”逸る気持ち”が複雑にクロスオーバー、彼ら自身が作り出してしまった“見えない強固な糸”が彼らの心と身体を、そしてチームの“和”や「絆」をも縛り付けてしまう・・・
いつもとは違い、それは“何か”を守るかのように「思い切りの良さが影を潜めむしろ慎重な試合運びを見せる」彼らとは対照的に “何も失うものはない”とばかりに思い切りのいい攻撃と激しいディフェンスを見せるセガに僅差に持ち込まれ45-43でよもやの敗北を喫し「到着すべき目的地」への道程を見失い「明らかに気落ちした」チームは次なる「目標設定」が無いままにオールディーズ戦を迎え結果は48-78と30点差を付けられて完敗、−その敗因は戦力的というよりはむしろ精神的な問題− そう彼らはまだ「精神的にまだ未熟な部分がある」ことを露呈してしまったものの最終日のファイブファールズ戦では連敗のショックを引きずる事なく見事な気持ちの切り替えを見せ真っ向勝負、息詰まる鬩ぎあいが続いた激闘を制しディフェンディングチャンピオンを54-53で下した事は彼らの新たなる成長の証を刻むとともに次期大会へ向けての新たなる一歩を踏み出したと言えるだろう。
続いてここで【表2】の各主要部門のスタッツ、そして【表3】のスタッツリーダーの数字を確認していくことにしよう。同率ながら準優勝を飾ったとあって得点、リバウンド、スティール・・・その順位に導いたであろう秀でた数値が並んでいるがここで気になるのはリーグ最低を記録したアシスト、そして3Pシュートの成功数だ。
−示された数値を元に直観的に彼らがどのようなプレーをしていたのかを推測すれば− 得点王に輝いたエース、ファイナルアンサーりょうのアイソレーションプレーを最大限に活かす為に“チームとして”彼にスペースやワンオンワンのシチュエーションを創出している、あるいはリーグ有数の優秀なリバウンダー、スリーピー亀田とバター梅津がオフェンスリバウンドを?ぎ取りセカンドチャンスポイントを決めていた為にアシスト数が若干物足りない数値になっている・・・とも言い切る事が出来るが次期春季大会でも激しい覇権争いを繰り広げることになるであろうファイブファールズ、そしてオールディーズがそれぞれ1試合平均11本以上のアシストを記録している現実を鑑みれば“ボールを素早く動かす”すなわちアシストでディフェンスを崩す“プレーを今一度意識する必要があるだろう。
もう一つの懸案事項である3Pシュートの成功数だがチームにはファイナルアンサーりょうを筆頭にリトルウェストブルック古川、ブーメラン野崎、そしてブラックマーメイド優子とロングレンジシューターが揃っているにも係わらず1試合平均2本しか決められていないのはやや物足りなさを覚えるのは筆者だけではないだろう・・・確率的な要素から戦術的に3Pシュートでのオフェンスを控えているオールディーズでさえも14本、キングサンズに至っては17本の3Pを決めている事、そして昨季NBA王座に輝いたゴールデンステートウォリアーズのオフェンスシステムを見るまでもなく現在のバスケットボールの戦術では3Pシュートでの攻撃が重要なファクターを占めることを合わせ考えればアシストと同じく3Pシュートの成功数を向上に取り組む必要があるだろう。
そして【表3】のスタッツリーダーの示す数値で明らかなようにリバウンド以外は彼があらゆる分野でチームトップの数値を記録している「ファイナルアンサーりょうへの依存体質への脱却」が依然改善されてないのも気掛かりだ。前回大会に於いて1試合平均25.4P、そして全ての対戦相手から20点以上を叩き出した「リーグ唯一のプレーヤー」だった現実を考えれば未だに彼はリーグにおける“アンストッパブル”な存在なのかもしれないがリーグの歴史を紐解いた時、特にここ数年に於いては“個”の圧倒的な能力だけではリーグ優勝を成し遂げたチームは存在しないこと、そして同時にリーグに所属している全てのチームは驚くべき程のアジャスト能力を持ち合わせている事を覚えておこう。
予想されるスターティングラインナップはブーメラン野崎、リトルウェストブルック古川の「若さとスピード」を併せ持つバックコートコンビに、3番のポジションには不動のエースのファイナルアンサーりょうが、そしてインサイドのポジションにはスリーピー亀田、そしてバター梅津が前回大会同様起用されることが予想され、これに「経験」と「リーダーシップ」を併せ持つスムース和田、ベテランの域に入ってきたサウスポーのセンター、バラクーダ月村、前回大会からチームに加入した切れ味鋭いプレーが持ち味のa.k.aブルードラゴン“青龍”リン、そしてアウトサイドシューターのブラックマーメイド優子の4人がベンチからチームにエネルギーを齎す役割を担う事になるだろう。
道に彷徨い迷走を続けた日々や重ねてきた辛酸や幾多の敗北から得た経験は全て彼らの糧となり若さと勢いを持つチームは正に今、“旬”の時を迎えていて“栄光”は彼らのすぐそばで静かに佇んでいる・・・“その手をもう少し伸ばすことが出来れば、気持ちをもう少し強く持つ事が出来れば、そしてメンバーの心を一つにすることが出来れば”彼らが求め続けてきたものを −すなわちリーグ優勝の栄光を− 必ずや掴み取ることが出来ると筆者は予測する。
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