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Dleague LOOKINSIDE 2017
第106回 ― 30年度Dリーグ春季大会 戦力分析 ―
【12回目の優勝を目指すオールディーズ】
“セリエA”のACミラン、インテルミラノ、イングランドプレミアリーグのアーセナル、MLBのニューヨークヤンキース、NBAのシカゴブルズ、LAレイカーズ、プロ野球の読売ジャイアンツ、Jリーグの横浜Fマリノス、そして永らくJ2に燻り続ける東京ベルディ・・・世界の、そして日本の様々なプロスポーツに於いて幾多の栄光に輝いた“名門”と呼ばれ“優勝”を義務づけられた強豪チームが勝利や栄光から遠ざかり、もがき苦しんでいるのと歩調をあわせるかのようにここ2年間、リーグ優勝から遠ざかってしまっているオールディーズ。
来る春季大会における彼等の目標は勿論“覇権奪回”そして4大会ぶりとなるリーグ優勝となる。
今回はリーグ最多11回の優勝を誇る“絶対王者”オールディーズの前回大会の戦いぶりを各部門のチームスタッツに照らし合わせながら彼らの戦力を分析、来る春季大会の課題を探っていくことにしよう。
【前回大会 3位 勝点11】 平均得点:66.4 @ 平均失点:55.0 C 得失点差:+11.4@ リバウンド:31.8 @ アシスト:10.6 A スティール:6.2 @ブロック:1.4 B 3P成功数:4.0 A
まずは彼らの前回大会の戦いぶりを丁寧に振り返ってみることにしよう。
開会式でチームのキャプテン、ベイビーガソル三寺の「前回大会で優勝を逃した悔しさからいつになく大会に向けてチームで練習を重ねてきたので・・・今回はオールディーズが優勝します!」との自信に溢れる華々しい「優勝宣言」のスピーチが披露された直後に行われたセガとの開幕戦、前半からハイペースで得点を重ね大量リードを奪う“チームの勝ちパターン”に持ち込みながらも後半に入ってリズムを失い突如失速、50−55でセガにまさかの逆転負けを喫し「最悪のスタート」を切るも“ここから目を覚ましたかのように“ネオクラゲには69-47、キングサンズには70-44、そしてファイブファールズをも83-53と全て20点差以上をつける圧巻のプレーを披露し3連勝、見事なカムバックを果たすと−この試合に勝利したチームが優勝となる− 大会最終日のファイナルゲームのブッダ戦では序盤から大量リードを許す苦しい展開に持ち込まれるものの第3Qに入ると反撃を開始、最終Q途中で同点に追いつくも再び突き放され60-76と完敗、”新興勢力“ブッダの大会連覇を成し遂げるのをまじかで見つめながら3勝2敗の3位で大会を終えた・・
次に先に挙げた各部門のチームスタッツを確認すると得点、リバウンド、スティールを始め素晴らしい数字が並んでいる・・・唯一気になるのは4位となった55.0の平均失点くらいだがこれは彼らがアップテンポな攻撃を標榜、攻撃回数が増えている事と比例しているので、さほど気にする事ではなく、得失点差では優勝したブッダ(+9.6)を上回る(+11.4)と断トツの数値を記録していること、そしてリーグトップクラスの素晴らしい才能を持ったタレントを要していることを鑑みれば彼らが優勝を逃したことが不思議に思えてくる・・・
−では何故、彼等は“敗北”という名の落とし穴に− 実力的に“優勢”しかも大量リードを奪っていた筈のセガに、そしてダブルヘッダーの2試合で彼らと闘わなければいけない肉体的ハンディキャップを抱えていた筈のブッダに“何故”敗北を喫してしまったのだろうか・・・
それはもしかすると彼等が −先行逃げ切り方− “試合開始から攻守で対戦相手を圧倒、一気に大量リードを奪い精神的ダメージを与えてそのまま押し切ってしまう”−いわゆる勝ちパターン−とは違う試合展開になった時に彼等の脆さや危うさが顔を出してしまうのではないだろうか・・・
前半で20点差近い大量リードを奪われながらも“最後まで絶対に諦めない”“たとえどんな絶望的な状況に追い込まれようとも決して勝負を捨てたりはしない”永年に渡り培ってきたいわゆる −セガバスケットボールカルチャー− の驚異的な粘りの前に自分達のリズムを見失ってしまったセガ戦、試合開始からオールディーズのお株を奪うような総攻撃を浴びせられ逆に大量リードを奪われてしまったブッダ戦・・・
−まさに敗北を喫したこの2試合は− 先に述べた彼等の勝ちパターンとは大きく乖離してしまっていた試合展開だった事を鑑みれば、そして春季大会で同じ轍を踏まない為にも“チームの舵取り役“若きボールハンドラー、スマイリーアサシンかおる、前回大会は欠場が目立ったミスターパーフェクト遠藤、そしてバックアップポイントガードを務めるイリーガルシート“ダッジロール”鹿野のゲームコントロールに、そして各々の仕上がり具合やフィジカルコンディションが覇権奪回、そしてリーグ制覇を成し遂げる為の最も重要なファクターになるだろう。
それではここで春季大会に臨むチームロースターを確認しておこう。
前回大会、開幕戦のセガ戦で腰を負傷し途中離脱、“ガラスのエース”の汚名を払拭出来るか、真価が問われる大会となるチームのエース、ヒュードロクーペ荒井、盟友のヒュードロクーペ荒井と共にチームの未来を担うスコアリング能力に長けたスピードスター、スマイリーアサシンかおる、昨夏からシュートフォームの微調整を行い3Pシュートの確率が飛躍的に向上、持ち前のドライブを絡めたオフェンスがさらなるUPDATEを遂げると共に素早いパスワークでチームメイトにオープンショットをクリエイトするチームのダイナモ、ミスターパーフェクト遠藤、前回大会、ヒュードロクーペ荒井、ミスターパーフェクト遠藤が欠場したチームの危機的状況の中でポストアップ、リバウンド、スコアリング・・・獅子奮迅の活躍を見せたミリオンダラー浅田、彼の右薬指が骨折していなければ・・・もしかすると“ブッダ戦の結果は違っていたかもしれない”リーグを代表するピュアシューター、バイロン鈴木、ロングレンジシュートで、インサイドのパワープレーで得点を量産する頼りになるベテラン、スワン佐々木、体調不良が伝えられているのがやや気になるところだが精度の高い3Pシュートとタイトなディフェンス、そしてクラッチタイムでの勝負強さを兼ね備えるベイビーガソル三寺、3年前の膝靭帯断裂によってかつてのスピードは失いつつあるも己の存在を消しながら独特の嗅覚でニュートラルボールを奪取する“ステルスリバウンド”と高確率で捻じ込んでくるゴール下が持ち味のキケロ武田、急ピッチでの調整が功を奏し一時の不調から復活、ここのところミドルジャンパーの確率を向上させてきているイリーガルシート“ダッジロール”鹿野、前回大会、短いプレータイムながら見事なプレーを披露したBIGX西川、そして4月28日に開催された第6回レジェンド大会で高確率のミドルジャンパーを次々にヒットさせ好調を維持しているヴィーナス野崎と残念ながら膝靭帯断裂を負い復帰に向けて懸命にリハビリに励んでいるロングレンジシューター、スピンマスターさくらは欠場濃厚ながら今大会もお馴染みのメンバーでリーグ最多となる12回目の優勝を目指すことになるだろう。
キングサンズとの激しい覇権争い、前人未到の5連覇、ファイブファールズに一度は明け渡した王座の奪還・・・これまでの彼等の時代の変遷を目の前で見てきた者にとって彼等の持って生まれた才能や練習や絶え間ない努力や練習によって培ってきた実力もさることながら“チームとしてのまとまりや一体感”“選手達の絆”いわゆる「精神的な部分での強さ」がトップコンテンダーとして常に優勝争いに加わり11度のリーグ優勝を成し遂げてきた最大の“源”であったこと、そして前回でのセガ戦、ブッダ戦での敗北から多くの教訓と同時に彼等の最大のモチベーションになるであろう“悔しさ”がメンバー全員に植え付けられていること、そしてブッダ戦も含めて大半の試合でエース、ヒュードロクーペ荒井、ミスターパーフェクト遠藤を欠いた中でスマイリーアサシンかおる、ミリオンダラー浅田が素晴らしいステップアップを遂げた事を鑑みると中軸選手が40歳を超えている年齢的な要素のハンディを差し引いたとしても彼等は今大会でも間違いなく優勝争いに絡んでくるだろう。
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