|
Dleague LOOKINSIDE 2017
第109回 ― 30年度Dリーグ春季大会 戦力分析 ―
【彷徨い続けるキングサンズ】
世界最古のカップ戦であるイングランドのFAカップ、イタリアのコッパイタリア、スペインのコパ・デル・レイ(スペイン国王杯)、そして日本の天皇杯・・・“一発勝負”のカップ戦に於いては往々にして番狂わせ、あるいは格下チームが強豪チームを撃破する“ジャイアントキリング”が起きている・・・
昨年でもイングランドのFAカップ5回戦では −2部、あるいは3部ではない− “5部リーグ”で戦うリンカーンがイングランドプレミアリーグで戦うバーンリーを敵地で撃破、クラブ創設133年目にして初の準々決勝、ベスト8に進出、スペイン国王杯でも“当然勝利する”と予想された“欧州チャンピオンズリーグの覇者”レアルマドリードがレガネス相手にまさかの敗退したのは記憶に新しい出来事ではあるし、古くは2003年、その年のJリーグチャンピオン、横浜マリノスを相手に市立船橋高校が0-2から2−2に追いつく大健闘、“あと一歩”のところまで迫ったが惜しくもPK戦で敗退(記録は引き分け)、また毎年のようにJ1、そしてJ2のプロチームが社会人、大学生チームに敗退しているのをスポーツニュース等の報道で聞き覚えがある方もいらっしゃるだろう・・・
但し “格上チーム”が敗れる要因には慢心、準備不足、対戦相手への軽視、コンディション不良等が挙げられ、逆に“格下チーム”が格上チームに勝利する為には周到な準備、集中力、対戦相手への徹底的な研究によって相手の弱点や傾向を洗い出し、経験、資質、体格、技術・・・全てにおいて上回る相手を倒す為の“針の穴を通す程の対戦相手の弱点を突く”戦術を選手に授ける、そしてもう一つのタイプ、一つでもピースが欠けていると持っている力の半分も発揮出来ないが一度ベストメンバーが揃うととてつもない力を発揮する、例えは悪いかもしれないが“地雷型”−現在のキングサンズはこれに相当する− 等、−ジャイアントキリング−は決して偶然の産物ではないし、その可能性は常にゲームに潜んでいるのだ・・・
2008年から2012年頃にかけて、その圧倒的な高さと長距離砲を武器にオールディーズと激しい覇権争いを演じ5度のリーグ優勝を成し遂げたキングサンズ。
しかしながら現在では選手の高齢化やチームの方向性が定まらず急速にチーム力が低下、それでもチームの奥底に小さな炎が燻り続けているのか、時折チームに宿る“チャンピオンプライド”を発揮、ここ数年はダークホースとして、オールディーズ、そしてファイブファールズ・・・時の優勝候補を撃破、不気味な存在感を醸し出している。
今回はキングサンズの前回大会の戦いぶりと各部門のデータをそれぞれ検証、彼等の問題点を探っていくことにしよう。
【前回大会 5位 勝点7】 平均得点:38.8 E平均失点:59.6 E 得失点差:−20.8 E リバウンド:21.6 D アシスト:7.4 D スティール:3.6 D ブロック:1.2 C 3P成功数:2.0 D (○は順位)
まずは第1試合のブッダ戦では前半16−19と3点のビハインドを背負うもののロースコアゲームに持ち込み“ジャイアントキリング”の予感を感じさせたが後半に入ると得点が入らなくなるのと同時にディフェンスも崩壊、34−50で敗れるとその後はファイブファールズに54−65、オールディーズには44−70、そしてセガには62−83と全て二桁差を付けられる形で4連敗を喫し低調なパフォーマンスを続けていたが最終戦のネオクラゲ戦では後半僅差の戦いから抜け出すと高橋“パイルダーオン”水芭蕉が止めの一撃を決めて66−57で大会初勝利、1勝4敗の5位で大会を終えた。
次に上記の表を確認するとやはり5位に相当する低調な数字が並んでいて特に平均得点38.8、平均失点59.6 そしてその得失点差、−20.2は突出していて、これではリーグ戦を勝ち抜くことは“ほぼ不可能”なのでまずはディフェンスを再構築する事がチームの最優先課題となるだろう。
またチームはリーグ参戦時からアウトサイドからの攻撃を主流とするチームスタイルを標榜、また現在のチームでもインベーダーのぶ、ユニバーサルジョイントのぶなが、RPGのぶなが、ベースラインマスターだいき等、優秀なシューターが揃っているので仕方のない部分もあるが、チームの総得点の内訳を見るとインサイドプレーヤーが挙げた得点は僅か12% −バーグ後藤が16点、ハイタワー西野に至っては僅か2点・・・この数字は彼等の1試合に残した得点では無くリーグ戦5試合の通算得点だ・・・− チームには前述の2人の他にセンセーション吉武とペイントゾーンを支配出来るセンターが3人在籍しているので速攻はともかくハーフコートで攻める場合はポストアップしたプレーヤーを活かしたオフェンスを組み入れる等、現在の“歪”になっている攻撃をバランスのいい形に改善する必要があるだろう。
また彼等の采配や選手起用は時折、首を傾げたくなるシーンに遭遇する・・・勿論、勝負事なので“勝つ為にベストを尽くす”のは当然な事である一方で、5月13日から6月2日まで約3週間で5試合を戦うリーグ戦の中で“チームを一つにする”“選手各々のモチベーションを保つ”事は最も重要でローカルバスケットボールの采配は“プロフェッショナル”のそれとは異なるとてもナイーブなものだ・・・そこには勝利を目指しながらも正義と規律、そして友情が同居しなければ、やがてチームは崩壊、そして分裂してしまうだろう。
それではここで“脆弱”と“強靭”が背中合わせに存在するチームのロースターを確認しておこう。
2年前の鮮烈なデビューから既にチームの中心選手に成長したインベーダーのぶ、正確無比のミドルジャンパーで得点を量産するチームのNO.1スコアラー、ベースラインマスターだいき、現在のキングサンズは彼のチームと言って過言ではないアウトサイドシュートとドライブを織り交ぜた攻撃が持ち味のボールハンドラー、ユニバーサルジョイントのぶなが、強烈無比のリバウンド、正しいシュートセレクション、そして力強いパワープレーでゴール下を捻じ込む抜群の安定感を誇る“キングサンズの良心”バーグ後藤、共に190センチを超える高さを活かしたリバウンドとアウトサイドシュートを兼ね備えるハイタワー西野とセンセーション吉武、持ち前ンタイトなディフェンスとロングレンジシュート、そしてチームにエナジーを与えるハッスルプレーヤー、レモンスカッシュつう、これに前回大会欠場したベテランロングレンジシューター、“RPG”からa.k.a変更、”#“ハッシュタグのぶなが、ミドルジャンパーと堅実なプレーが持ち味のハルクまこと、年々減少しているプレータイムと増加する体重が気になるスノーマン”プリングルス“てる、チームの黄金時代のエース、F山本、ひとたびコートに入れば抜群の安定感でゲームメイクするピンクアイバーソン、そして”ベンチからの指示を無視してロングレンジを放つのは既に織り込み済み“チーム最年長をリバウンダー、”ハイフライヤー”イチロー、そして2018年シーズンに向けて“南無阿弥陀仏ショット”に続く新たなるシグニチャームーブ、−本人曰くNBAサンアントニオスパーズのスタープレーヤー、トニーパーカーのスクープショットの完璧なコピーですと嘯く−“ラッパショット”をマスター、既に第6回Dリーグレジェンド大会でこの“ラッパショット”を披露、いつになく気合の入る高橋“パイルダーオン”水芭蕉の既にリーグではお馴染みとなったメンバーが顔を揃える。
キングサンズの戦力を断定するのは難しい・・・それは前述のように“脆弱”と強靭“が背中合わせに同居している −弱い時には全く弱いが一度ベストメンバーが揃えば時の王者を、そして強豪チームをいとも容易く凌駕するパフォーマンスを見せるからだ・・・
−結論として− 彼等と対戦するチームは決して油断をしてはならない・・・もしこの忠告のメッセージに耳を貸さず彼らを軽視すればたちまち“ブローアウト”吹き飛ばされてしまうと同時に今大会の覇権争いから脱落させられてしまうだろう。
|
|
|