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Dleague LOOKINSIDE 2013
第49回 −ファイブファールズは依存体質から脱却することが出来るのか−
昨夏に開催されたワンデートーナメント2012からリーグに加盟、3大会連続3位と常に覇権争いに加わってきたファイブファールズ。しかしながら初優勝の期待が膨らんだ前回大会、セガ(5位)、続くブッダ(最下位)の「確実に勝利を挙げると目されていた」下位シードチームによもやの連敗を喫し優勝争いから早々に脱落、その後は目を覚ましたかのように3連勝と巻き返し表層的には3位と体裁を保つポジションには滑り込んだもののその立ち位置はチームに、そしてリーグ戦を戦ったメンバーとって決して満足がいくポジションとは言い難く逆に多くの悔いが残る失意の大会だったと言えるのではないだろうか・・・今回はリーグ初優勝を目指すファイブファールズの現状を分析、問題点を探っていく事にしよう。
まずは前回大会のスタッツからチームを解析するとリーグ平均を大きく上回るリバウンド(2位、151本)を除くと総得点(5位、235点)、アシスト(4位、39本)スティール(5位、32本)そしてブロックに至ってはリーグ平均9,6個を大きく下回るわずか1本の断トツの最下位と「3位に食い込んだのが不思議なほど」低調な数字が並んでしまっている。確かにアナザーワールドたく、トリックスターだいご、そしてセンターポジションのダイナマイトキッドあつしの中軸を担う主力プレーヤーがそれぞれ2〜3試合欠場した影響も勿論あるだろうがそれにしてもこの数値が示す得点力と守備力ではリーグを制覇する事は難しいだろう。特にオフェンス面ではリーグ最多となる3P成功数(20本)のアウトサイドからの抜群の攻撃力を持ちながらも2P成功数はリーグを平均(92本)を大きく下回る最低(76本)を記録、これは前回大会で度々目撃されたノーマークのレイアップやゴール下近辺の所謂「イージーバスケット」を数多く外していたことに起因しているのは明白で1試合最低得点のリーグレコード更新に迫る27得点に終わったセガ戦や試合全般を通じて拮抗した競り合いを続けるも自らのミスで自滅、終盤引き離され敗北を喫したブッダ戦でも「スタッツに記録されることはないが各々の記憶には残りその脳裏を霞める失敗体験の残像現象」がチームはもとより選手の精神状態に悪影響を及ぼしてしまいイージーミスが起きる度に場内からは無論、自軍ベンチからも心の落胆を現す数多くの溜息が聞かれたことは4ヶ月近い月日が経過した今でも彼らの記憶からは消え去ってはいない事だろう。
個々のスタッツを見ていくとチーム最多得点(53P)を挙げたダンディカズ、毎試合ダブルダブルに近い数字の残し最も安定した活躍を見せたハリウッド雄介、“チームの2枚看板”アナザーワールドたく、トリックスターだいごの欠場時にゲームコントロールや得意の長距離砲でチームを支えたマイクロビーンズ遠藤、地味ながら堅実なプレーで貢献したルンバ北山、そして気迫のプレーでオフェンスリバウンドを奪取、得点機会を創出していたブラックタイガー山川は及第点とも言える活躍を見せていたがジャックナイフ土利川、マジック飛澤、ボードマスターマッキー、イエローマスタード菅野、そしてダイナマイトキッドあつしはそれぞれ数試合を欠場した影響もあるが実力とはかけ離れた低調な数字に終り、得点やリバウンド、そして気迫や気持ち・・・様々なサポートをチームに、そしてコートに持ち込めなかった事も覇権争いに加わる事が出来なかった要因の一つであるは間違いなく、またアンダー30プレーヤーとして全試合に出場、チームのダイナモとしてコートを駆け抜けあらゆる場面に顔を出し攻守に大きく貢献はしているもののスーパーボールあきらの1試合平均3点にも満たない得点力はチームに、そして本人にとっても決して満足出来る数字とは言えないはずで「チームに優勝を、そして自らの真の力をリーグに証明する」為にもこの27歳の若者は前述のベテランメンバー達と共に奮起をしなければならないだろう。
そして何と言ってもファイブファールズの最大の問題は前回大会で明らかになったアナザーワールドたく、そしてトリックスターだいごへの依存体質だ。これは数字にもはっきりと表れていて彼らが揃って欠場したセガ戦、ブッダ戦では共に敗戦、それとは逆に出場したネオクラゲ戦、キングサンズ戦、オールディーズ戦ではいずれも勝利、そして平均得点は敗れた2試合は36点、勝利した3試合は53点と17点もの差が生じてしまっているのが現実で、大会までに「彼ら二人に頼る事なく試合に勝利出来る戦い方」を構築することがチームが取り組まなければならない最優先課題であり、“時には如何なる野獣をも恐れない勇猛なライオン、そしてまたある時は外敵に襲われても噛み付く事すらしない可愛らしい子猫“のような全く別の顔を見せてしまうようでは「実力が拮抗しどのチームにも優勝するチャンスがある」1ヶ月にも及ぶ過酷なリーグ戦を制することは不可能だ。
演奏途中で弦が1本切れてしまうアクシデントが起ころうとも残された4本の弦で何事も無かったように聴衆に素晴らしい音色を聞かせる事が出来るプロのギタリストのように
リーグに王朝を築きつつある“絶対王者”オールディーズは4連覇を継続するその戦いの過程の中でチームのエース、ミスターパーフェクト遠藤を欠いた試合、あるいは不調に陥りベストパフォーマンスが発揮できかなった試合は一度や二度ではない・・・しかしながらチームは彼が欠場、あるいは本来のパフォーマンスを発揮出来ない時にスワン佐々木、ベイビーガソル三寺、バイロン鈴木、ミリオンダラー浅田、ラムジー武田、そしてキャノンボールしん・・・その都度他のプレーヤーがステップアップ、あるいはベンチメンバーを含めチーム一丸となって敗北の危機を乗り越えている・・・
前回大会では4連覇を達成した“絶対王者”に唯一の土を付け既にリーグを制する力を十分有している事を証明したファイブファールズがオールディーズ同様如何なる試合でも変らぬチームパフォーマンスを発揮出来る術をチームとして身に着けた時、彼らがリーグの頂に登りつめると筆者は予測する。
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